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その少女は生まれた時から眠っていた。
高い塔の上で1人静かに眠っていた。
しかし、ただ眠っているだけでは無い。
眠りながらこの地の生命力を吸収し、生きていた。
それ故、塔の周りの草木は枯れ、水は淀み、動物の骨が散らばっていた。

それは少女の夢と同じ光景。

ある聖女がこの状況をどうにかしようと、少女を起こそうと考えた。
毎日祈りを捧げ、この地の状況を何とか伝えようと努力していた。
しかし、少女が起きることは無い。
通い続け数年がたったある日、聖女は亡くなった。その亡骸はまるで老婆のようだったという。

それも少女の夢と同じ光景。

そして少女は1つの夢を見た。
空という場所に星という宝石があるということ。
少女はそれがどうしても欲しかった。

少女は生まれて初めて目を開けた。すると、塔の外の草木がさらに萎れ、灰となった。
ただその状況を知る由もない少女は塔から出ようと歩みを始める。
壁を伝い覚束無い足でゆっくり降る。

その時に気づいた。
壁に不気味に茂る蔦。なぜか手が触れたところから、さらさらと灰になって崩れる。
試しに別の場所を触っても同じことが起きた。
恐ろしくなった少女は何も見ないように、急いで階段を降る。
シュウ…と小さな音を立てて枯れる草を見ないように目を閉じた。
怖くて泣いていた。何が起きているのかも分からなかった。
やがて塔の入口へ着いた。でも扉にへばりついた草はやはり枯れている。

少女は決意を固めて扉をゆっくりと開けた。
しかし、そこに拡がっていたのは枯れた木、淀んだ池とひび割れた大地。

夢に見た、きれいな星空はなく吸い込まれそうな黒い空が広がっていた。
己の手を見つめて思い出した。
触れたところから枯れる草、死んだ若い聖女、そもそも塔の周りに生命は無かった。
ないと言うよりも、もしかしたら自身が生きるために吸い取り続けていたのかもしれないということ。
信じたくなかったが真実だった。

少女の瞳には何も映らない。
青々とした草木も走り回る動物たちも、夢に見た星空も。全て絵空事だった。

少女は1人塔へ戻り、また眠る。
そして、それ以来少女が目覚めることは無かった。