EXEC_DYED/.
翼を持たない白い天使と翼を持つ黒い天使の話
天使にとって翼は力の象徴であり大きいほど優秀であるとされ、生命を維持する為のものでもあった。
黒い天使と白い天使はとても仲が良かった。
しかし成長するにつれて互いの考え方が変わっていった
悪は悪だと天罰を下す黒い天使と、悪の根源があるはずだから、と更生させる方法を考える白い天使。
まるで人間の考えのようだと黒い天使は腹を立てた。
天使は神の遣いであり、平等と公平でなければならない。
罪には罰を、善には祝福を。
それ以上に何を望むというのか…。
とうとう黒い天使は「どうして自分のことをわかってくれないのか」と怒った。
白い天使は「あなたの考えは分かるわ、でもね…」と言葉を続けようとした時、
黒い天使の苛立ちが雷となってこの場に降り注いだ。
その雷の1つが白い天使に直撃した。
守る力すら持たない彼女ははその場に倒れる。
…何も本気で白い天使に当てようとは思っていなかった。
言葉で表せないほどの怒りをどうすれば伝わるか考えた結果、雷を放った。
大切に思っていた彼女を本当に傷つけようとしたわけじゃなかった。
…ただ、分かって欲しかった。
抱き上げた白い天使は氷の様に冷たく、このまま消えてしまいそうなほど儚く美しかった。
それから、黒い天使は白い天使を介抱し続け、目覚めるように何度も祈りを捧げていた。
どれだけ努力しても目覚めなかった。
そして、黒い天使は1つの決断をする。それは翼を分け与えること。
生命維持装置でもある翼を分け与えることで、目覚めることが出来るかもしれないと考えた。
「あなたを赦すわけじゃない。でも、このままではいけないの。」
黒い天使は自身の翼をちぎり、白い天使に分ける。
白い天使の背に浸透した黒い翼はふわりとはためき、静かに瞼が開く。
「ありがとう」と、白い天使は微笑んだ。
これから続く未来の話。
その時代には、あらゆる生命の幸せを願い、罪には罰を、善には祝福を授ける片翼の2人の天使がいた。