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その船は進むことを赦さない。
かつての平和の地は神の怒りを買い、水に呑まれた。
人々は流れ着いたもので船を作り、静かに暮らしていた。
しかし、今まで堕落した人生を送ってきて、
危ない時に自分だけ安全な場所にいるということを神は赦さなかった。
その船に1人、神と対話できる少女が乗っていた。
どうか怒りを沈めてください。私達は、多くの過ちを犯しました。
この平和が永遠に続くと信じ、怠惰なる態度でいました。
ですが、私たちが死んではいけないのです。
その罪を次の世代に教え、過ちを繰り返さないようにしなければならないのです。
どうか、慈悲を…
船はそれでも動かなかった。
飲まず食わずで語りかけ、ようやっと神が口を開いた。
其方の願いは、聞き届けた、と
少女は御子と崇められ、救済の日を待ちわびた。
食料も尽き、死を待つか救済かどちらが先でもおかしくないくらいの時を過ごし、
その日は突然やってくる。
どこからか喇叭の音がするのだ。
柔らかい旋律と共に舞い降りる光。
そして、人々は4人の天使の姿を見た。
「あぁ、やっと罪が許され救われるのだ」と、誰もが信じて疑わなかった。
次々と救済を求める手が上がる。
その中で1人、御子だけは恐怖の顔をしていた。
「あれは、天使では無い」と1人気づいていた。
舞い降りた「天使」は人々の手を取り空へ羽ばたく。
しかし、手を繋がれた人達はその場に倒れ込む。
御子は倒れた人に手を当てた。生きている人間とは思えない冷たさ。
天使は人々の魂だけを連れて行っていた。
狭い船で驚き逃げ惑う人々を捕まえることは天使たちにとって、
落ちた木の実を拾うように単純で簡単だった。
「救済という名の魂の浄化」
それが「神が彼らを赦す方法」なのだろう。あっという間に人の山が出来上がる。
絶望的状況で唯一残された御子は「もう耐えられない、私も連れて行ってほしい」と天使に伝えるが、
「貴女はダメ」と空へ帰っていってしまった。
御子はようやく気づく。犯した罪が赦された訳ではなかった。
そもそも、許しを乞うことすら「罪」であり、この中で生きるということが「罰」であった。
それが御子に課せられた「原初の罪と罰」。
「原罪」
その船はゆっくり動き出し、宙の果てへ飛んでいく。
生きることも死ぬことも許されなかった1人の罪人を乗せて。
朽ちた人の山の中、罪人は願っていた。
どうかこれが最初で最後でありますように、と。